年頭雑感~2015年1月 5日掲載

2020年2月5日 0 投稿者: sakano

最近の日本は、どうもおかしいとずっと思っていた。

 小泉純一郎元首相は改革なくして成長なしといったが、規制緩和・改革を進めてみても、これまで日本を支えてきた中間層の没落は加速する一方で、結局は貧富の差が拡大するだけだったように思える。安倍首相が唱える女性の活用だって、多くの中間層で夫の収入だけでは家計が立ちゆかなくなりつつあることの裏返しではないか。

 規制緩和・自由競争を旗印とする新自由主義を推し進めればそうなることは当然だった。かつて、規制緩和を推し進める急先鋒であった中谷巌氏が自らの著書「資本主義は何故自壊したのか」で、反省を込めて次のように書いている。

 ~手段はどうであれ、自由競争の中で上手に稼ぐことが「資本主義の正義」であり、その競争に敗れて職や財産を失うのはあくまで自己責任なのだとする新自由主義思想には、格差の拡大を正当化こそすれそれを是正して皆が幸福な社会、皆が心豊かに暮らせる社会を創ろうという意図は皆無である。~

 私も同感だ。

 昨今、米国や日本で推し進められてきた新自由主義は、一見、旧弊を打破する公平な考えのように見えなくもない。

しかし、

①自由競争で儲けた者が勝者(正義)である。

②儲けるための手段は問われない(極論すれば、他人を騙してでも儲けた者勝ちである)。

③競争に敗れるのはあくまで自己責任の結果である(救済をしたり救済を求めるのは、自由競争に反する甘えである。)

この三点に新自由主義の特徴を見出すなら、この考えは、貧富の差をさらに推し進める悪魔の考えかもしれない。

 中谷氏も分析するとおり、①に関しては、情報がどうしても偏在する現代社会においては、真の意味の自由競争は存在していない。だから、情報を有する強者が圧倒的に有利な立場で勝負できるのだ。例えばアメリカの大手証券会社の保持する情報と一般投資家の保持する情報ではその量と質において、著しい差がある。それどころか、アメリカの大手証券会社は、ある企業の適正株価を表示して株価を動かすことさえできてしまう。これでは、一般投資家は餌食になるしかない。

 ところが、昨今の日本政府の動向は投資を誘導する政策の方向性が強い。これは誰にとってプラスになるのか。結局、餌食になる確率が極めて高い一般投資家を大量生産しようという方策と見えなくもない。

 ②に関しては、リスクの高い商品や嘘の表示をした商品であっても、そこを誤魔化して売りさばきさえすれば良いというモラルなき販売方法に現れている。食品産地偽装や、サブプライム問題などもこの範疇だ。とにかく儲けさえすればいいというのであれば、安く仕入れた商品を嘘をついて高く売るか、リスクの高い商品をリスクを誤魔化して売るのが手っ取り早い。手段を問わず儲けた者が正義となれば自然とそういう流れになりがちだ。

 これは、かつての日本の、愚直に良い製品・良い品質を追及する企業の姿勢に反するかもしれない。しかし、競争相手が手段を問わずに儲け始めた場合、儲けた者が勝つシステムの中で対抗して生き残るためには、どこまで今までのやり方でやっていけるのか、それでいいのか、疑問を持つ経営者もいるのではないか。

 ③に関しても、競争に敗れるというのは本当に自己責任なのだろうか。どんなに正直に堅い商売をしていても、取引先から不渡手形をつかまされ連鎖倒産した場合、騙された方が悪い、自己責任なんだ、として放置すべきなのだろうか。一度貧困に陥った人も自己責任だとして放置するのが本当に国のあり方として正しいのだろうか。貧困は差別や怒りを生み、差別や怒りは暴力へとつながりかねない。むしろ、貧困を克服し皆が安心して暮らせる社会を目指して行く方が、国のあり方として正しいのではなかろうか。

 厄介なことは、この国を動かしている人達にとっては、新自由主義の方が都合が良いということだ。現在富裕層に位置している人達にとっては、すでに勝者だし情報面でも圧倒的に有利な立場にあるから、敢えてその地位を捨てたくはないだろう。政治家もそのような富裕層らの関係するロビー活動に尻尾を振っているように見える。また、競争に敗れるということは自己責任だと言い張ることは、敢えて社会保障制度などによる救済を手厚くする必要はないという意見を正当化する、格好のツールになるだろう。

 東京五輪の招致の際に、滝川クリステルが「お・も・て・な・し」といったが、本当に外国人をもてなすのは、日本国民1人1人だ。滝川クリステルではない。日本国民全体がもっている美徳を訴えるのなら、その美徳を守れるよう日本国民全体の幸せをもっと考えるべきではないか。

 その点、未だ新自由主義を捨てきれていないように見える日本は、どこかおかしいままであるように思われるのだ。

 雑駁な、年頭雑感になりました。

 今年もよろしくお願いします。

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