依頼者保護給付金制度について~1~2016年9月 1日掲載

2020年2月5日 0 投稿者: sakano

 平成28年8月23日に朝日新聞が日弁連の「依頼者保護給付金制度」について下記のような報道をしています。

http://www.asahi.com/articles/ASJ856QV7J85UTIL04Y.html

(抜粋はじめ)

 「成年後見人として預かった高齢者の財産を着服するなど、弁護士の不正が相次いでいることを受けて、日本弁護士連合会が被害者に見舞金を支払う制度を創設する。経営に苦しむ弁護士の増加が背景にあるとみており、「市民の信頼低下を防ぐことが急務」との考えだ。早ければ来年4月にも導入する。」(中略)

 「「依頼者保護給付金制度」は、弁護士の着服について刑事裁判の有罪判決や弁護士会による懲戒処分が出た場合、被害者に見舞金を支払う仕組み。」で

 「上限は被害者1人当たり500万円で、複数の被害者がいる場合は弁護士1人当たり2千万円を上限とする。日弁連に新設する審査会で被害者らに事情を聴いた上で支払い額を決める。」(以下略)

以下、依頼者保護給付金制度について、私なりの考えを示していこうと思う。内容が難しくなりがちなので、誤解を恐れず、対話形式でできるだけ分かりやすく単純化してお伝えできればと考えている。

1.依頼者保護給付金制度の検討状況

N:おじさん、新聞に出てた記事は本当なの?

O:日弁連が検討しているのは確かだね。そして、日弁連から、各地の弁護士会に対して、意見を求めている段階にあるよ。

N:え!新聞では、もう決まったように読めるんだけど、ホントはまだ、決まっていないの?

O:その通りだよ。日弁連ではまだ決議されていない。だからホントはまだ決まっている訳じゃないのさ。現在は、日弁連から「こんな制度はいかがでしょうか、御意見を下さい。」と各地の弁護士会に意見を求めている段階だよ。

N:え~、それなら、どうして決まってもいないことが新聞で報道されちゃったの?

O:おそらく日弁連の執行部あたりがマスコミにリークして、それが報道されているんだろうね。読売新聞なんか、もっと前から報道していたよ。多くの弁護士が、そのような制度が検討されていることを知らせてもらえず、急に報道されてびっくりした、という笑い話まであるくらいさ。

   弁護士や各地の弁護士会から反対の意見が上がるかもしれないから先手を打って、マスコミに情報を流して報道させて、反対しにくい雰囲気を作っているんじゃないかという人までいるくらいなんだ。もちろん、おじさんの加入している大阪弁護士会でもまだ意見は決まっていない。

N:ふ~ん、本当に執行部がリークしたのなら、自分達の意見を先に広めて、反対できない空気感を作って、意見を言えなくしちゃうわけだ。なんだかズルしているみたいだね。太平洋戦争を止められなかったのも、何となくみんなが反対できない空気に流されちゃったからだ、というTVのドキュメント番組も見たけど、なんだかそれみたい(笑)。

O:(苦笑)あくまで推測だから、もしそうなら、ということだよ。まあ、日弁連執行部以外に情報の出所はないだろうけどね。でも、テレビ番組の指摘にもかかわらず、日本の政治は未だ変わっていないという人もいる。ちょっと脱線しちゃうけれど、例えば、ある制度を作りたいとか維持したいときには、かたちの上では、有識者を集めて検討させるんだけど、それが茶番ということも実際には良くあるんだよ。

N:本当なの?有識者って、普通は大学教授とか、エライ人だよね。どうして茶番になるの?

O:例えば、君たちの学校は修学旅行の行き先は生徒会が、生徒会役員の多数決で決められると仮定してみようか。そしてN君が生徒会長で、どうしても、東京ディズニーランドに行きたかったとする。生徒会役員のメンバーはこれから君が決められる。君はどういうメンバーを選ぶ?

N:もちろん、いろんな意見の人を公平に・・・・といいたいところだけど、どうしてもTDLに行きたいのなら、秘かに賛成してくれる人をメンバーに入れて多数決で勝てるようにしちゃうかも・・・・。冗談ですけどね(笑)。

O:それが大人の世界では冗談じゃないのさ。例えば、法科大学院制度を維持したいと考えたときには、法科大学院制度に賛成してくれそうな有識者を中心に会議のメンバーを設定するのさ。もともと法科大学院賛成の有識者だから、そいつらがいくら会議しても、結局は法科大学院制度維持の結論しか出ない。有識者を選ぶ段階で、もう結論が出ているような会議を設定し、かたち上は「有識者の意見を聞いたところ結論はこうでした。」ということで、公平に議論したかのように装って、その方向に進めていく。有識者は公平とは限らないからね。まあ、僕も大人になってからこの残念なからくりに気付いたんだけどね・・・。

N:でもでも、賛成してくれそうで、いざ会議になったらそうじゃない人もいるよね。そんなときはどうしているの?

O:確かに、そういう場合はありうるよね。その中で思ったように賛成してくれない人がいて、会議が思った方向に行きそうにないときは、期限切れなどで一度会議を終わらせて、改めて別の会議を作る。そのときには賛成してくれなかった人は選ばれない。別の賛成してくれそうな人に変えてしまうのさ。民法改正などでも、そのような手法がとられていた、という批判もあるよ。

N:う~ん大人の世界は、きれい事では済まないと良く聞くけど、ちょっと幻滅だなぁ~。

(続く)

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